はじまり はじまり

「何で急にクラフトビールなの?」

4年前、クラフトビールにどハマりした時によく言われた言葉である。そしてもうひとつ意外だと言われるのだが結構歴は短い。

ただ性格上、どハマりすると深く知りたいし誰にも負けたくない。それに歴が長いから良いってものでもないと思っている。どんな道も長かろうが短かろうが濃い時間を過ごす事が必須だし、今後も学ぶ姿勢は忘れないつもりだ。

ではクラフトビールにハマったきっかけはと言うと1本のビールの出会いからなのだが、実はクラフトビール自体の存在は知っていた。一応、酒屋だから当たり前なんだけど(笑)
ただ「地ビールはマズイし、高い!」と自分の中でイメージがあったので、わざわざ飲もうともしなかった。

そんな時、酒屋の先輩が販売しているクラフトビールを知る。元々自分自身も大手国産のビールは愛飲しているビール党。それに信頼している先輩が販売しているで、興味本位で数種類送ってもらう事に。

届いたビールは静岡県のベアードビール。今だから正直なことを言うと、付き合いもあるし、先輩とも今後も仲良くしたいから購入したというのが本音でビール自体は期待してなかった。

しかし、その数時間後、ビールという飲み物の価値観を根底から覆される事となる。

 

ビールは「とりあえず」的な飲み物で、喉越しを味わうものだと信じ込み、キンキンに冷えたジョッキで水のように飲むのが当然だと思っていた。それがこのペールエールというビールを飲むとモルトの甘みや香ばしさ、ホップの香り、苦味、フルーティーさを感じる事ができる。もちろん、初めて飲んだ時はそんな区別なんてつかないから「何コレ、ウマッ!」くらいだったのだが。
そして、そこから色々調べていくと、醸造されている方の想いまで知る事ができる。こんなすごいビール達が世の中にはまだまだたくさんあるのかと思うと、今まで本当に狭い所でいたと感じると同時に、ワクワクが止まらなかった。

そこから時間さえ取れれば、全国の醸造所へ出向いてお話を聞いたり、工場見学もした。色々なビールが飲みたいならビアバーやタップルームに通った。もっと知識を深めたいから資格や研修もできるだけ受講しているし、気になる本は購入し読むようにしている。(現在、コロナの影響で受けに行けないのが悔やまれる)

クラフトビールの販売も4年前の当時は、1台余っていた冷蔵庫があったので、それを倉庫の片隅に置き販売開始。3ブルワリーくらいと契約し販売し始めたのはいいけど、場所が場所だけにフラッとお客さんが入ってくる場所ではないので本当に売れるのか毎日ドキドキしていたのを覚えている。それから周りの支えもあって販売も順調に行き、今年の9月にはクラフトビール専門の場所「タニーズベース 」を構える事ができた。

店舗を構えた事もあり、発送がメインだったクラフトビールも最近では県内外のクラフトビールファンが足を運んでくれるようになった。その中でも特に嬉しいのはSNSや口コミなどで知って、クラフトビールに興味をもった方達が来店してくれる事だ。大好きなクラフトビールを知って貰えるきっかけの場所になっているのだと思うと感動さえする。

 

ただ、道は始まったばかり。まだまだ世の中には以前の自分のような「マズイし、高い!」と思っている人達がたくさんいる事だろう。でもそんな人達に、まずクラフトビール1本手に取ってもらい、僕と同じ、いやそれ以上の感動を少しでも感じてもらえたらと思う。

現在、タニーズベースに置いてあるビールはどれも素晴らしいビール達だ。1つ1つこだわった麦芽、ホップ、水、酵母、副原料の材料や製造方法。そしてブルワーの熱い想いがビールに詰まっている。そんなクラフトビール達を今度は自分が伝えていかないといけない。堅苦しくなくハードルを上げるのではなく、カジュアルにだ。

ビールは素晴らしい。

そして、多くの事や人を繋げてくれるのもビールだ。

 

 

 

 

プロフィール

中川 浩行
中川 浩行
香川県観音寺市の酒屋「タニーズ」の専務 中川です。「その先の笑顔の為に」を理念に飲食店さんを全力サポート!もちろん一般小売・全国発送もしています。広島カープ、ゴルフ、お酒を飲むことが好き。そして何より仕事も趣味も仲間とワイワイ楽しむのが1番好きです!ビアテイスター、ビール検定2級