ビールを「作る」と「造る」

今日は漢字の勉強。

とは言っても国語力が中の下、或いは下の上(高く見て)の私なので、正解なのか誤っているのかわかりませんが、今回は国語力の漢字という視点ではなく1つの考えとして読んでもらえたら幸いです。

いつもビールに対して私は「造る」という字を使わさせてもらってます。
個人的にその「造る」にはブルワリーやブルワー達のビールに対しての考えや想いが込められていると思うからです。私自身もクラフトビールを取り扱いしてますが、ビールそのものの味の他にブルワリーの考えや思いに対して重点を置いてます。「作る」という漢字が誤りではありませんが、このタイトルにしたのは理由があるからです。

それは今から20年以上前、地ビールブームが起こり、「作る」が先行した時代があったからです。1994年、ビール醸造の規制緩和で年間醸造2000klから60klに引き下げられ、少量でもビールが製造できる新しい時代が幕開けしました。 実は世界には100を超える多くのビアスタイルが存在します。それまで数種類のビアスタイルしか飲めなかった日本で多くのビアスタイルを製造し、楽しむ事ができる素晴らしい時代が幕開けしたのです。

しかし残念ながら現実はそれを「金儲け」や「町おこし」として利用しようとする人達が現れたのです。 本物のビールを造りたい人以上に現れた偽物の「モノ作り」はすぐに素晴らしいビア文化の到来の火を消してしまいました。そこから各地の小さな醸造所は苦しい時代を迎えたのです。

「地ビール=高くて不味い」

地ビールブームはこのレッテルだけを残し、徐々に忘れ去られました。

しかしそこから時は立ち、この方程式を切り崩すもの達が現れました。それは苦しい時代を乗り越えた本物の造り手とその背中を見続け、想いを込めたビールを創造する本物のブルワーである「造る」人達です。

「クラフトビール=想いのこもったビール、美味いビール」

と飲む人達のビールの創造を根底から書き換えたのです。

もちろん漢字だけで全てが表せる訳ではありませんが、私はその本物のブルワー達に敬意を表し、「造る」という漢字でビール造りを表現させていただいています。
そしてクラフトビールブームを迎えている今、また同じ過ちを繰り返さぬ様に「作る」と「造る」の違いをクラフトビールを取り扱うものとして飲み手の皆さんにしっかりと伝えていければと思っています。

 

ビールはすぐに作れる。
ただ、ビールはすぐに造れない。

 

プロフィール

中川 浩行
中川 浩行
香川県観音寺市の酒屋「タニーズ」の専務 中川です。「その先の笑顔の為に」を理念に飲食店さんを全力サポート!もちろん一般小売・全国発送もしています。広島カープ、ゴルフ、お酒を飲むことが好き。そして何より仕事も趣味も仲間とワイワイ楽しむのが1番好きです!ビアテイスター、ビール検定2級